「アレ・・・誰?」


学校の帰り道、友達と二人で街を歩いていた時。道路を挟んだ所に彼氏が知ら
ない女の人と歩いているのを見た。楽しそうに表情を変える赤也を見て、胸が苦
しくなった。と、同時にムカついた。私が好きって言ったのは嘘だったのか、って。



「あぁ、切原じゃん」

「そうじゃなくて、隣の人!」

「んー、誰か?」



アホなは全然分かってない。だってあれって絶対・・・



「浮気なんじゃ・・・」

「わぉ、美人さんじゃん。切原やるぅ!」

「ちょ、ばか?」



私が彼女ってこと知ってるはずだよね?余りの天然さにアホからバカに格上げ
したよ。というか酷いじゃんも赤也も。明日、学校行って問い詰めてやろう
か。それとも無視し続けてやろうか。そんなことを考えながら、の頬を捻り、
赤也を睨んでいた。
























あぁ、頭がヅキヅキする。何も考えたくない、と思ってベッドに倒れこんでもそん
なの不可能。帰ってきてからずっと、赤也の事だけ考えていた。自分は捨てら
れるんじゃないか。飽きたとか言われて、冷たい目で見下ろされるんじゃない
か。そう思うと、怖かった。でも反対にそんなの許せない、そう思った。あの女
の人が憎くて、一緒に居た赤也も憎くて。嫌で、嫌で、嫌で。そんなことを思う
自分も怖かった。


夕食も口に入らず、お風呂に入ってすぐ寝た。でも、眠れるはずがない。明日の
ことを考えると、苦しくて怖くて身体が震えた。



「ん・・・」



カーテンの隙間から光が零れる。眩しい、ということはもう朝?時間を忘れて
深く不安に溺れていく自分に気付かず、一睡も出来なかった。重い身体を精
一杯の力で起こし、立つ。とりあえず学校の支度をして、頑張って朝食を食べ
て学校へ向かった。
























「はぁ・・・」



思わず溜息が漏れる。そんなことをしていても学校は徐々に近付いて来ている
のだ。頑張れ自分、そう思わせていた時だった。



「あ、!」



聞き覚えのある声が私に掛かる。それは昨日見た赤也だった。満面の笑みに
心を癒されるが、昨日のことを知らないと思っているその余裕な表情に酷く苛つ
く。



「おはよっ」

「・・・」

?」



昨日いろいろ考えたが、やはり無視という方向性でいこうと決めた。赤也に本当
のことを言ってもらうまで黙っているつもりだ。



「なぁ、」

「・・・」

「俺何かした?」



不安そうな表情で問い掛けられても無視し続ける私。このまま学校まで行くわ
けにもいかないので、歩く速度を少しずつ上げて、赤也から離れようとした瞬間、
右手に少し痛みが走り、振り向く。



「ねぇ、聞いてる?」



そう言った赤也の目は真剣で。もう少しで充血しそうなくらいだ。流石に覚醒され
ては困る私は、自分より高い赤也を同じく真剣に見上げる。



「!」



と同時に赤也が驚いた表情を見せる。そういえば、一睡もしてない所為で目の
下には隈が出来てたんだった。でもその驚きは多分、他にあった。



「何で泣いてんの」

「だって、赤也が・・・っ」

「俺が何?」



眉間に皺を寄せて悲しい顔をする赤也は、優しく私に問い掛ける。こうやって涙
を流しているということは、私はやっぱり赤也が大好きで大切だってことだと思う。



「き、きのっ」

「昨日?」

「女の、ヒクッ人と、」



「女ぁ?」と悩みだす赤也。5秒くらいして、赤也はポンッと思い出したかのよう
に手の平にグーを乗っける。普通は浮気現場を見られて焦り、言い訳をする筈だ
けど?


「あれ姉貴」

「・・・ふぇ?」

「だから、昨日一緒に居たのは姉貴!」



え、ぇぇぇえええっ!?


如何しよう、恥ずかしい。まさか赤也のお姉さんだったとは・・・ってかお姉さんが
居たなんて一言も聞いてない!私赤也のお姉さんに焼きもち焼いてたなんて
・・・最悪。



、顔真っ赤!」

「・・・ッ」



あ〜ッ、昨日の私の悩みを如何してくれんのよ!ハハッと笑う赤也は可愛くて
どこか嬉しそうだ。そんな所が好きな反面、今はちょっとムカつく。



に焼きもち焼かれて嬉しいっ」

「な!?」

「ま、姉貴ってとこが嫌だけど」



昨日仲良かったくせに・・・。でも、浮気じゃなくて良かったって、心からそう思う
よ。赤也にだけは嫌われたくないから。



「つかさ、俺だってさっき不安だったんだぜ?」

「何で?」

がしゃべってくんないから」



そう言って頬を膨らます赤也に「ごめん」と笑って返す私が不満だったのか、歩
き出した私の腕を先程より優しく掴む



「俺、を嫌うなんて有り得ないから」



=一生好き?とか考えてしまう私ってアホ。まぁ、ほどではないけど。そう
考えていた束の間、唇に何か触れる。柔らかくて、温かくて。本当に触れるだけ
の一瞬の・・・



「ぁ、赤也!」

「ゲームセットウォンバイ切原ぁ、なんつって!」



テニスのコールみたく笑って言って逃げるように小走りで先を行く赤也を、私も
笑って追いかけた。明日もこうやって笑い合えるように願って。































     (・・・毎日なんて耐えられません)  (ってゲームセットウォンバイ鈴井、でしょ?)

































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 赤也と仁王で悩んだ結果、赤也になりましたw
 仁王はまた今度、お楽しみに♪←

 赤也、可愛過ぎですよね!
 私的に弟にしたいキャラでも上位ですw





 091018