騒がしい授業中、窓際から陽だまりを覗いた。そのとき私は、太陽って
地球って何なんだろう、そう考えていた。そして、私って何で生きてるん
だろう、その疑問の最終点がそれだった。別に私は地味な子ではない
し、暗い子でもない。でも何故かそんなこと考え、自分に溜息を吐いて
しまう。



「はぁ、」

「何溜息吐いてるん?」



コツッと軽く頭をグーで突かれ、少し吃驚した。隣の席はテニス部部長
白石蔵ノ介さん。あぁ、今何で白石のことさん付けしちゃったんだろ。



「ねぇ白石」

「んー?」

「私って何で生きてんの」

「んな俺に言われてもなぁ・・・」



そりゃ困りますよね。いや私だって今困っとるんやけど。白石は苦笑い
で此方を見ている。何かムカつく。聖書なんだから応えろよ。



「はぁ・・・」

「ま、まさか自殺願望なん!?」

「んな訳あるかぁ!」

「せやろなぁ 死ぬん無理そうやし」



おいコラそれはどういう意味だ。半ば男友達並みの会話になったがコレ
でも私は白石に片思い中なのだ。こんなに近いのに、踏み込めない領
域がある。白石にしてみれば、私はただの友達なのだから。



「神様にでも聞かななぁ」

「え、終に逝っちゃった?(頭が)」

「ちゃうわ!」



ふざけた会話が教室の端の席達で行われる。2人の小声は教室に響
かず、教師の声と他の生徒の雑音のみが広がっていた。会話も自然
と終わり、私は嫌いな数学の何やかんやを聞き流していた。



「(寝よっかな...)」



そんなことを思っていると、隣からトントンと人差し指で突かれる。今寝
ようと思っていたのに、と少し苛立ちを覚えながらも其方に顔を向ける。



「何?」

「あんな、さっき言うとったやつ。俺なりに考えたで!」

「さっき・・・あぁ」

「あれや、"神様の気紛れ"ちゃう?」



一瞬「は?」とか思ったけど、翌々考えてみるとソレも悪くない気がした。
例えそうでなくても白石がそう言うんなら、私もそう信じてみようと思った。



「そかもねっ」

「せやろぉ?ほなら、俺等がクラス同じなんも隣なんも
 "神様の気紛れ"なんやろな」

「え...」



もしそれが本当に神様の気紛れなら、私は凄く神様に感謝したい。だっ
て私は白石が好きだから。そんな大胆な発言を心の中ですると、顔が異
常に火照ってきた。



、顔赤いで?」

「き、気にしないで!」



わたしを心配してくれているその表情には、何故か悪戯をも感じさせる。
その表情の本人は「さよか」と言いながら此方から目を逸らし、天井を見
上げた。



「ホンマにこれが"神様の気紛れ"やったら神様にめっちゃ
 感謝せななぁ・・・」

「(同じこと考えてた...?)何で?」

「俺がんこと、好きやから」

「・・・は?」



ちょ、待って。すみません頭混乱中です。今なんて言った?白石は、私
のことが、・・・す?あははははっ冗談だよね有り得ないよね!?ヤバ
イ自分壊れて来た。



「せやから俺はが好きなんやって」

「す、好き焼きぃ?今の時期?あ、有り得なっ」

「・・・?」



何か少し黒いものが見えるのは気のせいかな。というか、多分私の目
はグルグル。そして頭の中は沸々。恐らく今熱を測ったら、40度は軽
く超えそうだ。



「ほな、これも神様の気紛れっちゅーことで」



そう言ったと思ったら、白石の顔が見えない位置まで近付いてきて。私
は動けずに目を閉じ、白石と唇を交わしていた。仄かに甘く、私より少
し温度の低いものの感触がゆっくりと引いて行く。



「嫌やった?」



探るような白石の質問に、咄嗟に私は首を激しく横に振る。それに安心
したような表情をし、肩より少し長い髪を撫でられた。白石の動作一つ
一つに目が眩んで倒れそうな不器用な私をどうか許してください。



「神=聖書」



と突然 変なことを言う白石の視線は此方を逃さない。まぁ、確かに神様
と聖書は共通するけど?



「聖書=俺」



うん、白石は四天宝寺の聖書だからね。その意味には確かに納得する
けど、今一何が言いたいのか良く分からない。やはり此方を逃さずにい
る表情は真剣で、透き通った瞳は私を見抜いていて、先程触れ合った
紅は薄く弧を描いている。



「という事は、や」

「・・・どういう事?」

「神=」

「いこーる?」

「俺」



はい良く意味が分からないー。数学の論証とかのでよくある、こっちが
同じならこっちも同じ・・・みたいなやつだよね。何でそれが繋がるか全
く理解不能なのですが、どういうことなんだ。



「せやから、さっき言うたやん」

「何を!」

「"神様の気紛れ"って」



その言葉を言われた瞬間、何かがスルッと解けていくような気がした。
良く分からないのに分かった気がして、というかもしかして。



「白石の・・・気紛れっ?」

「っちゅーか、俺めっちゃアピっとんのにが振り向かんから」

「へ?」

「気紛れに告っただけや。それに、」

「そ、それに?」

「何で生きてんのかっちゅうんやったら・・・俺の為に生きてや」



そう頬笑んで私を見つめる白石は、窓から差し込んだ日によって輝い
て見えた。その言葉は特に意味無く零したものだったのに、そう思って
も何か嬉しいものがあって、頷きながら私も一緒に頬笑んだ。気紛れ
過ぎるくらいな神様の温かさと、生きる理由を忘れないように。
























    



         (それなら一生、貴方の為に生きようと思う)   (キミの気紛れから始まる...)































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 この間 頂いた相互記念のお返しとぃぅことで、
 必殺、蔵返しッ←
 ・・・調子のってすみません!

 もちゆ様ゎ蔵好きそうなので蔵にしてみました^^
 こんなので良ろしければ、お持ち帰り下さい♪





 091212